発表のお知らせ、など
原稿執筆中。来週土曜の哲学/倫理セミナーと、再来週日曜の表象文化論学会のパネルで発表します(詳細は下記)。よろしくどうぞ。
あ、それとついでに、科研でやっていたエコノミー概念の調査の報告書が出ました。アガンベンの本が出たから割合に知られてきたけれど、エコノミーという概念は、後期ストアを経て神学に流れ込み、ルネッサンス期のストアの読み返しを経て直接近代経済学へと流れ込んでいるもので、その変遷をたどると「経済」と語られて忘却されている歴史的な背景がすごくなまなましいかたちでわかります。数年前から哲学史の中の用例を探っていく作業を継続して行ってきた研究会の成果が、資料集というかたちで報告書で出てますのでご報告しておきます。これ実際、見てもらえればわかるのだけれど、哲学の歴史をエコノミー概念の変遷としてとらえ直すことができるかもと思わせるほど、これまで全く掘り下げられていない問題群がいきなり開かれるのがわかります。せっかくなのでみんなでネタを分かち合って開拓していきたいところ。欲しい方はメールしてもらえれば、お送りすることができます。
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哲学/倫理学セミナー
第六八回例会 平成22年6月26日(土)14時30分から16時40分まで
於 文京区民センター 3-B会議室
(http://pe-seminar.hp.infoseek.co.jp/map.html)
第一部 14時30分から15時30分まで
構想発表 「活動と完全性
――アリストテレス倫理学における完全性について――」
加藤 喜市
アリストテレスの『ニコマコス倫理学』の中で,「完全性」という概念が
重要な働きを担う文脈は,二つ存在している.まず,第10巻前半の快楽論
において,この概念が中心的な役割を果たしていることは,否定され得な
いだろう.そこで語られるのは,快楽が(i)「完全なものであり」,(ii)
「完全な活動に付随して」,(iii)「活動を完全にする」という三つの論点
である.実際,「快楽とは完全化にほかならない」という解釈も提出される
ほどに,二つの概念は分かちがたく結びついている.
また完全性は,ギリシア語における「目的」概念との密接な関係からす
ると当然ともいえるが,幸福論という文脈では,いわば鍵概念として機能
する.幸福論に属する第1巻では,主として目的・生・徳の完全性という
かたちで完全性の概念が現れる.他方,第10巻後半の幸福論における,
完全な幸福と二次的な幸福(=観想的生と実践的生)という対比は,同箇
所の幸福論の主軸を成すものといえるだろう.
快楽論と幸福論における完全性の意味合いを問うことを通して,アリス
トテレス倫理学における快楽と幸福の関係を再検討すること,および完全
性概念の持つ哲学的意義を汲み取ることが,論文全体の課題となる.『形而
上学』Δ巻第16章の規定を手掛かりにしつつ,上記二つの文脈を取りあげ
て,それぞれにおける完全性の諸相を明らかにすることが,論攷の主たる
作業となるだろう.本発表では,その概要を述べることで,構想を示すこ
ととしたい.
【参考文献】
■アリストテレス『ニコマコス倫理学』,『形而上学』
■加藤喜市「アリストテレス倫理学における快楽と苦痛について」
(早稲田大学哲学会『フィロソフィア』第97号,pp.168-171,2010年)
第二部 15時40分から16時40分まで
構想発表 「構造転換の可能性
――ラカンにおけるディスクール間の移行について――」
荒谷 大輔
「享受せよ」という無意識の指令を、資本主義体制における主体は、個的
主体の趣味的な消費へ移し替え、そのことによってシステム内に自らの位置
を得る。だが、そうした消費社会の主体は、ラカンによれば、生産手段とし
ての知(ノウハウ: savoir-faire)を稼働させて剰余を産出しながら、手の
先から零れ落としてその享楽をシステムに受け渡す。よく知られるように
ラカンは、欲望の構造化において機能する四つのエレメント(S1,S2,a,S
barré)の配置によって規定される四つのディスクールのうち、資本主義の
ディスクールととりわけ親和的なものを、「主人のディスクール」に見たの
であった。
本発表では、しばしば、ラカンのテクストだけを根拠に上滑り的に語られ
るこうした説明図式の妥当性を、哲学の歴史的文脈と社会的現実性に照らし
て検討しつつ、ラカンの語るディスクール間の転換の可能性について考察し
たい。コジェーブ経由で参照されるヘーゲルの主奴の弁証法は、そもそも、
自己意識的な主体の形成を論理的に記述するための図式であったが、それは、
市民社会=資本主義社会における主体の有り様を跡づけるものと捉え直すこ
ともできる。ラカンにおける市民社会論の精神分析的読み替えを辿り直すこ
とで、構造が変化する可能性の糸口を探っていきたい。
【参考文献】
■Lacan, Séminaire XVII
■ヘーゲル『精神現象学』
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表象文化論学会 7月4日、研究発表3
http://www.repre.org/event/conference/index.html


